チェレンコフ望遠鏡のための反射鏡の形状の評価

前田 昇平


Abstract


   現在世界で稼動中および計画中のチェレンコフ望遠鏡の主鏡の 形状は主にDavies-Cottonと放物面である。 今回は主鏡についていくつかの形状をコンピューターによって シミュレーションを行ない、どの形状が チェレンンコフ望遠鏡に適しているかを検討した。
   シミュレーションではまず光束密度の一様な 平行光線を主鏡に入射し、その反射光の結像イメージを求めた。 空気シャワーから発光するチェレンコフ光の観測地点への 到着時間差分布は数nsしかないという特性から、 チェレンコフ望遠鏡の反射鏡の開発には結像イメージ だけでなく、時間特性も考慮することが大事である。 時間特性の良い反射鏡を採用すればチェレンコフ光を 捉える時間が短くてすみ、その分ノイズとなる夜光を低く押えることができたり、 時間分布より空気シャワーの到来方向を知ることができる。 次に空気シャワーから発光するチェレンンコフ光のモンテカルロ計算 を行い、その光を主鏡に反射させたときの結像イメージと、主鏡を 使用しないときのイメージを各種のパラメータを用いて比較した。
   これらの計算結果に基づいて、チェレンンコフ望遠鏡に適している主鏡の形状 に関する評価を行っところ、放物面上に分割鏡を 配置し、焦点距離を分割鏡ごとに最適化したものが今回試したF値0.8の形状の 中ではもっとも優れていることがわかった。