CANGAROO-IIIチェレンコフ望遠鏡のための新しいライトガイドの開発

真栄城 敦


Abstract


   チェレンコフ望遠鏡のカメラは多数の光電子増倍管(PMT)で 構成されているが、各PMTの間に不感領域が生じる。 望遠鏡の主鏡で反射してカメラの不感領域に入射する光を 無駄なくPMTの有感領域に導くのが、ライトガイドの役割である。 今回は様々な形状のライトガイドについてモンテカルロ・シミュレーションを行い、 その性能を評価し最も集光率の良い形状を実際に製作する。 そして製作したライトガイドの集光率を実測し、シミュレーション結果との比較 も行いながら、CANGAROO-III望遠鏡に用いるのに最適なライトガイドを決定した。
   シミュレーションではライトガイドへの光の入射角度を変化させていき、 その時の集光率を様々な形状について比較した。 この結果、集光率が最も良くなるのは、ライトガイドの断面がWinston Coneと呼 ばれる形状で 入射面は六角形にし、さらにライトガイドとPMTとの隙間はなくすという場合で あった。
   ライトガイドの集光率が向上すれば、より弱い光を望遠鏡で捕らえられるようになり、 観測可能なエネルギー領域が今までよりも下がることになる。 その結果、CANGAROO計画の大きな目的である、人工衛星によるGeV領域での観測と 地上におけるこれまでのTeV領域での観測との、 エネルギー領域の空白を埋めていくことが期待できる。