最近の10年でγ線天文学が大きな進歩をとげている。KeVから数GeVの領域に
かけては、人工衛星が目覚しい活躍をみせTeV以上の領域にかけては、チェレ
ンコフ望遠鏡が数々の結果を出している。
しかし、その間の10GeV$\sim$100GeVの領域はγ線放射機構を解明する上で非
常に重要であるにもかかわらす、地上、宇宙観測ともに難しく、未踏の領域になっ
ている。
γ線のフラックスはエネルギーの上昇とともに、急激に減少する。また、高エ
ネルギーのγ線は透過能力が高く非常に大きな検出器が必要になってくる。
そこで、大気を検出器として用いて大きな検出面積での観測を可能にするの
がチェレンコフ望遠鏡である。
このチェレンコフ望遠鏡に一般的に使用されている、光電子増倍管
(PMT)カメラのピクセルサイズを小さくして解像度を上げて、小さなイメージ
をとらえることで未踏の領域の観測がどこまでできるのかをシミュレートした。
さらに、従来の反射鏡にかわり、より高分解能(結像性能の優れた)な反射鏡を
用いることでイメージの構成にどのような影響を及ぼすかをシミュレートした。
この結果、チェレンコフ光の鮮明なイメージをとらえることが期待で
き、観測イベント、角度分解能などが向上し10GeV$\sim$100GeV領域のγ線観
測に高解像度カメラ、高分解能反射鏡が有意であることがわかった。