最高エネルギー宇宙線領域の検出装置として提案されているTelescope Array Project(TA)はアメリカのユタ砂漠(標高1500-1600m)に建設される。約 10,000Km$^2$の地域にステーションを10箇所設営し、各40台ずつの望遠鏡を展開 する大気蛍光型検出器である。 TAは 10$^{16}$eVから10$^{21}$eVの宇宙線由来のカスケード・シャワーによっ て生成された大気の蛍光光を測定する。 観測には400台の望遠鏡にそれぞれ256本の光電子増倍管(PMT)を用い合計約10万 本のPMTが大気中をモニタする。 宇宙線観測の分野において宇宙線イベントの受光素子としてしばしば用いられる PMTは、より精度良く宇宙線のエネルギーを観測するために大量に用いられる傾 向にある。 これらの大量のPMTは個体により出力にばらつきが存在する。 この出力の違いを正確に較正することにより宇宙線のエネルギー決定精度を向上 させるシステムXY Stageを開発した。 このXY Stageとは望遠鏡のカメラと平行な2次元面上に光量が分かっている光源 を動かしPMTの出力マップの導出及び増倍率を調整するシステムである。 本システムはオンラインでPMTを較正が可能なため広大な範囲に検出器を展開す るTelescape Array計画において重要な役割を担っている。 その結果、10$^{20}$eV宇宙線のモンテカルロによって計算されているエネルギー 分解能6\%に対して装置による系統誤差は0.5\%に抑えられた。 この事により最高エネルギー宇宙線の探索に十分な精度を得られた。