イメージインテンシファイアとCCDカメラを用いることで既存のPMTカメラより はるかに詳細なシャワーイメージ画像を高速で撮影可能なチェレンコフ望遠鏡用 撮像システム の開発状況を報告する。

近年、ガンマ線天体物理学ではTeVのエネルギーをもつガンマ 線の観測により成果を上げて来た。 しかし、このようなエネルギーのガンマ線が遠方より到来する場合には 赤外線背景放射の光子と相互作用をする確率が大きくなるため観測することが難しくなる。 観測空間領域や観測対象となる線源の数を増やすためには 相互作用の確率の小さくなる100GeV以下のより低いエネルギー領域のガンマ線を 観測する手段の確立が求められる。

現在の超高エネルギーガンマ線観測で主流にあるのがチェレンコフ望遠鏡による 空気シャワーのイメージング観測である。 低いエネルギーのガンマ線が作り出す空気シャワーは小さくなる。 小さな空気シャワーイメージを観測するためには既存のカメラよりはるかに解像 度を高くする必要がある。 また、低エネルギーのガンマ線は事象頻度が高くなるため 高速で撮像可能であることも求められる。 撮像素子としてイメージインテンシファイアを用いることで その要求を満たす撮像システムの開発を行うことが本研究の目的である。 システムはイメージインテンシファイアによる光量の増幅、 CCDによる高速撮像、撮像タイミング生成のための高速トリガ回路から構成される。

浜松ホトニクス製直径10cm(甲南大学3m望遠鏡での視野にして直径2度に相当) 大口径イメージインテンシファイアと高速ゲートイメージインテンシファイアに より2段階の光量の増幅を行う。 高速ゲートイメージインテンシファイアとCCDへ与えるトリガ信号は 光電子増倍管で捕えたチェレンコフ光より高速トリガ回路を経て生成する。 CCDカメラはランダムトリガが可能であり、 最大250Hzで直接PC上のハードディスクに書き込むことの できるシステムを用いた。 上記システムを用いることにより現段階において0.03度の解像度を達成した。