最高エネルギー宇宙線観測のためのCCDカメラによる大気透明度の測定

築地 正浩


Abstract


   極高エネルギー宇宙線による大気の蛍光を観測する場合、大気による光の減衰を 精度よく知る必要がある。大気減衰を引き起こす散乱過程として、大気分子による レイリー散乱、ダストやエアロゾルによるミー散乱が知られている。 蛍光の波長領域である300-400nmはミー散乱よりレイリー散乱が優勢ではあるが、 遠方のシャワーでは地表近くを長く伝播せねばならず、局所性、局時性を 特徴として持つミー散乱の影響が相対的に増大する。 これらの散乱過程をより正確に知るためにCCDカメラによる大気モニター装置を 作成し、オーストラリアのウーメラで観測した。
   その結果、当地の大気減衰距離は400nmで約4908$\pm$286$g/cm^{2}$であり、水 平距離にして ほぼ40.9kmである事が分かった。この値はレイリー散乱の与える効果としては妥 当な値であ る。一方でミー散乱の効果はあまり見られなかったようだ。